Sunday, January 11, 2009

作品の見せ方考

アメリカで何度か展覧会(個展/グループ展)を経験しているけど、ちょっと面白いなということがある。ギャラリーの壁は必ず白、パディストール(pedestal)と呼ばれる展示台も白、白白白、なのである。

搬入・展示の前に、ペンキ缶を持って、あっちこっちの壁や展示台のくすんだ部分を塗るのが先決なのだ。

また、コンペのアプリケーションやポストカードに使う作品の写真だが、実際の物よりいかに良く見えるように撮影するか、がとても大切で、良いカメラマンや撮影スタジオを使うことに、人はとても貪欲だ。




アメリカでは、実物よりも写真写り、中身より外見、個人から大衆へと、作品の持つベクトルは外へ外へと向かっているように思える。もちろん実用的な陶器と、オブジェやフィギュア作品の持つ性質は違うけど。

自分の作品を前にして、コンセプトを語ることも、アメリカ陶芸では必ず要求される。

人に自分の作品を認めてもらうために、あらゆる努力を惜しまない。
逆に制作プロセスの中で、力を省けるところは極力省く。
作品の良し悪しよりも、ディベートや競争に勝つ力を付ける。

良いものを作る、という作家としての使命の前に、良いものを見極める目を養うことも大切なのだが。

アメリカの陶芸に関わって、延べで5年。決してそれをを批判しているわけではないが、私はここにいてもやっぱり日本人陶芸家なので、郷に従えない「日本人意識」が、シニカルに考えさせるのだろう。

あなたは自分の作品を良いものだと言い切れる自信がありますか。
それを人に認めさせるための、努力をしていますか。

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