Sunday, July 30, 2006

コーネル大学でワークショップを開く

Ithaca (イサカとカタカナで表記するのだろうけど、ちっとも正しくない発音だ)は、NY州北部、湖に近い辺りにある、こじんまりとした美しい町だ。アイビーの一つコーネル大学、谷を挟んだ向かい側にあるIthaca College の2つの大学関係者で、その人口の大半を占めるという。

NC州シーグローブを月曜日の夕方出発し、途中バージニア州にある小さな町で1泊し、次の日早くにホテルを発ち、ルート81号をひたすら北上した。バージニア州、ウェストバージニア州、メリーランド州、ペンシルバニア州と超えて、NY州Ithacaにたどり着いたのは2日目の午後6時。のべ12時間の運転で、距離は1100kmを超えた。

今回はコーネル大学の陶芸スタジオで、ワークショップとレクチャーをするためにやってきた。ちなみに、コーネル大は芸術学部のプログラムが非常に充実していて、さらに併設されている大学の美術館は、自治体の運営する公立美術館などよりもよっぽど大きかったりする。今日はスタジオで道具と土を準備し、先週登り窯で焼いたばかりの器を参考のために並べて、後は構内を散策して、ホテルに帰って来た。レクチャーのための資料も作っておかなければ。
コーネル大学は、1868年に、エズラ・コーネルによってNY州Ithacaに開設された。アメリカ北東部にある8つの大学で構成された「アイビーリーグ」の一つで、歴史があり、入学志願者の多い人気校だ。コーネル大学のあるIthacaは人口3万人、フィンガー・レイクス地方と呼ばれるニューヨーク州の中部に位置し、NYCからは約400km離れている。

3年前に一度、大学附属美術館を見るために訪れたことはあったが、仕事のために滞在するのは初めてだ。私たちを招いてくれた、コーディネーターのアンディ・パルマー氏に連れられて、美術館や構内を歩く。丘の上に美しい校舎や時計台が建ち、古き良き雰囲気を醸し出している。
ワークショップでは、NCから持参した原土を何種類か使い、ロクロを挽き、大鉢や皿、急須、壷などを2日間かけて作った。参加者は2~30人ぐらいだった。皆、非常にまじめに、時にノートをとりながらしっかり聞いている。

今回、特に強調したのは、自然の原料・原土を使い、自分のオリジナルの素材を大切に使うことだった。私たちの陶芸はとてもシンプルで、掘った土を水ひして土をつくり、焼締か、または化粧や灰釉を使って装飾をし、薪の窯で焚く、というものだ。ビルの中に作られ、設備が整った限りある空間である学校内のスタジオでは、なかなか経験できないものなので(原始的とも言えるが)、逆に興味深かったのではないかと思う。

1日目の最後には、前の晩に何とか用意した、スライドプレゼンテーションを行った。信楽の写真や、マサチューセッツ州、ヴァージニア州、そしてシーグローブのやきもののことを紹介した。

2日目は、前日の作品の仕上げに加えて、シーグローブから持ってきた竹を使った竹の道具ワークショップを開き、各自弓や竹べらを作った。また磁器土を使ったはんこワークショップも行い、自分の名前を彫ってはんこを作った。

大勢の人の前で、英語で話し、作品を作り、短時間で仕上げて、しかも皆に満足してもらうというのは、よほど慣れた人でない限りは、いつまでたっても結構苦痛なものだ。だが、新しい人たちとの出会いや情報交換、ネットワーク作りは、自分の見識を広げるためにとても大切なことだと、いつも思う。