Friday, March 25, 2005

NCECA(エヌシカ) 2005

NCECA 2005を視察するため、2005年3月に、メリーランド州ボルティモアに行った。

NCECA(エヌシカ)とは、「The National Council on Education for the Ceramic Arts」 の頭文字を取ったもので、直訳すれば「全米陶芸教育協議会」と堅苦しい名前になるのだが、つまり陶芸教育に関わる様々な団体から構成された委員会が、毎年全米の中の一都市で開催する、陶芸の大イベントだ。

参加者登録を入り口で終え、IDを首にぶら下げた人々が最初に流れ込んでくるのが、ボルティモア・コンベンションセンターの出展者ブース会場である。全ての出展者が、商品・製品カタログ、情報誌、ポスター、商品サンプル、大学などは学校紹介だけではなく入学願書にいたるまで、テーブルにディスプレイし配布している。陶芸関係のあらゆる情報が嫌というほど得られので、目星をつけたブースだけでも情報で紙袋いっぱいになる。

コンベンションセンター内の別の会場では、ゲストアーティストによるワークショップやデモンストレーション、技術情報、陶芸史、陶芸教育などをテーマにしたレクチャーやパネルディスカッション、NCECAが企画した学生からの公募による展覧会などが盛りだくさんに行われている。

面白いアイデアだと思ったのは、著名な陶芸家や大学教授から募った作品をチャリティーオークションにかけ、集まった寄付金を各助成金や奨学金に当て、陶芸教育の普及と充実に貢献していることだ。

NCECAは基本的に、陶芸における教育的・学術的な目的を持っているが、それとは別の性格も併せ持つ。一般参加者はもちろん学生も、名刺やポストカード、自分の作品を収めたCDなどを片手に、積極的に「営業」をする。陶芸教育と陶芸ビジネスが直接向かい合う、ネットワーキングの場でもあるのだ。

陶芸教育の普及、発展、ネットワーク構築を目的としたNCECAは、毎年違う州で盛大に行われる。人もビジネスも、それに合わせて動く。おそらく、現代のアメリカ陶芸界を支えているのは、土の産地とか陶器の町といった「動かないもの」ではなく、人や情報やアートビジネスといった「動くもの・変わっていくもの」なのではないだろうか。

5日間(実質は4日間)の通しのチケットは約200ドル(外国人参加者用料金/2005年度)、インターネットでの事前登録が楽だが、当日券を直接購入することもできる。

NCECA ホームページ http://nceca.net/