Wednesday, March 01, 2006

イギリス陶芸事情①

アートの街・ロンドンにて

ロンドン・グリニッジにあるハーレクインギャラリーでの展覧会開催のため、12月中旬より約2ヶ月間、ロンドンに滞在した。今回の目的は展覧会開催だけではなく、イギリスの陶芸事情を視察するためでもあり、このリサーチに対して大和育英基金より助成を頂いた。

アートの街・ロンドンは、建築物の美しさは言うまでもなく、美術館の多くが基本的に入場料無料(任意の寄付制)である。大英博物館の収蔵品数と日本美術研究は間違いなく世界一であり、ビクトリア&アルバート美術館の工芸品のコレクションは圧倒的だ。絵画ではナショナルギャラリーやテートブリテン、現代アートのテートモダン、その他自然史博物館やポートレートギャラリーなど、ロンドン中心部の美術・博物館巡りだけでも1週間などあっという間だ。
ナショナルギャラリー

テートモダン

大英博物館

ヴィクトリア&アルバート美術館


イギリスの陶芸とその影響

イギリス中部にあるストーク・オン・トレントには、ウェッジウッドやスポード、ロイヤルドルトン等の工場が集まり、制作現場等を一般公開している。また陶芸美術館やグラッドストーン博物館などは、ストーク・オン・トレントを知るのには不可欠だろう。イギリスは近代に入ると、産業革命による工業化、磁器土やボーンチャイナの開発などで、窯業が飛躍的に発達し、一時代を築いた。

煌びやかなテーブルウェア以外にも、一般の生活陶芸も各地で盛んに作られていた。民芸運動のリーダーであったバーナード・リーチは、イギリスに帰国後、南西部にあるセントアイブスで工房を開き、作品を精力的に作り続けた。リーチは、民芸スタイルと言われるような目に見える形の伝統ではなく、「手作りの良い器とは何か」ということを追求し続ける陶芸家の心得を、足跡として残したのだと思う。

スタジオアーティストとして活躍したルーシー・リーやハンス・コパーなどの作家活動のスタイルは、現在の陶芸アーティストの原型であると言える。

アメリカの陶芸は、イギリスからの影響を抜きには語れず、また日本陶芸がリーチを通じて受けたイギリス工芸の影響は、民芸運動の歴史を見れば一目瞭然だ。これらの国の相関は非常に興味深いし、現在進行形であると言えるだろう。



様々なクラフト関連団体や情報

「クラフト・ポターズ・アソシエーション(CPA)」という、陶芸家の団体が運営するギャラリーがオックスフォード・サーカス地区にあり、CPA加盟の陶芸家の作品が展示・販売されている。

CPA



それとは別に「クラフツ・カウンシル」という工芸家の団体もあり、展覧会や各種イベント開催、工芸家へのプロジェクト助成、工芸教育支援事業等を行っている。
クラフツ・カウンシル:http://www.craftscouncil.org.uk/

クラフツカウンシル


イギリスの現代陶芸インフォメーション:
http://www.studiopottery.co.uk/index-f.html

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